Jam Service 式構図法

これは黄金比を使って自己相似的な画面分割を手っ取り早く 作る方法です。言わば、「黄金分割法みたいな?」ものです。 まず、横:縦比が黄金比(1:1.62)のスケールを用意します。 スケールには縦横それぞれに画面を4等分する線が入って います。これらの線の間に、更に8等分線を入れます。位置は 縦と横の中心線の両側です。細書きの油性ペンでスケールに 書き込んで下さい。8等分線の色は是非とも金色を使って下さい。 何故なら、これが画面を縦横に黄金比率で切り分ける分割線だからです。
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黄金分割線は全部で4本あります。この線によって画面はそれ ぞれ3:5の比率で切り分けられます。3:5つまり「ほぼ黄金比」 です。そうなのです。ここでは黄金分割比を3:5=5:8=8:13 程度に、ゆる〜く捉えているのです。つまり、13の長さを黄金比 に分割すれば、5:8だなと。或は8の長さを黄金比に分割すれ ば、3:5だな、と捉えるのです。そしてこの時、それぞれの黄金 分割線、或は4等分線が大変重要な役割を果たすのです。 この分割線こそが、「絵の主題」が収まる位置になるのです。
さて、絵画の核心は「何を描くか?」ということであります。描くべき 価値を作り出すことこそが創造であり、その価値をイメージとして 平面上に表現するものが絵画なのです。ですから画面構成を考える 作業は、この「何を(=主題の焦点)」を、黄金分割線上に沿って 配置することから始まります。人物を描こうというのであれば、その モデルの中でもっとも注目を集める焦点を決めて下さい。そして その焦点を、黄金分割線、或は4等分線のいずれかを選んでその 上に配置して下さい。スケールを覗きながら、所定の位置に描き 込んでいくのです。キャンバス上にもスケールと同じ黄金比の長方形と その分割線を描いておくと良いでしょう。
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モナリザの場合、右目が黄金分割線と4等分線との交点に、左目が縦横の
4等分線の交点に、交差する手の中心が黄金分割線上に、それぞれ配置されています。
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さらに、この作品の場合、頭部においても同様な分割が行われ ており、自己相似的に調和のとれた画面構成になっています。
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アングルの構図においても4等分線が重要な役割を果たしていますが、 一方、黄金分割線上にある頭部と肘の二カ所に巻かれた布も、画面 構成上、重要な役割を果たしていることが分かります。また、ウエストの 位置が、画面を上下に黄金比に分割している事が見て取れます。
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モナリザと同様、この作品についても自己相似的構成が見られます。 ウエストと肘の横のラインが頭頂部までの長さを黄金比に分割し、首から 下の長さを2等分しています。またウエストの幅や、右耳を通る体幹部の 中心も、きれいに分割線上に整えられています。
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マネの描いた少年の体軸は、顔の正中線から画面の中心を通って、 右足の踵まで、縦まっぷたつに画面を分割しています。にも拘らず、 縦左側の黄金分割線上に重なった右脚へと体重を移動することで、 画面に動きを与え、まるで少年の奏でるメロディーが聞こえてくるかの ような現実感を作り出しています。左肩、右肘、右手、左手、左足先など、 体の要所要所が黄金比の長方形の分割線上に、見事に整理されています。
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「オランピア」についても、人物の中心線を分割線上に持ってくるなどの 工夫が随所に見られます。右隅の猫までもが、目の位置やお尻の高さを 分割線上に合わせようと、一所懸命にポーズをとっています。
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「草上の昼食」もひと手間かければこの通り。 いわゆる使い回しというやつですよね! 同じ年に制作されていますし。
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